“文字”
ラジャブザーデ先生は、
長期休みには必ず、
毎日ペルシャ語で日記を書くことを課題としてだされた。
そのとき、文字を略して書くと
必ず訂正された。
“イラン人だってみんなそう書いてるじゃん!”
と思ったこともあった。
だが今日、
先生の最後の言葉でなんとなくわかった。
“イラン人は文字をとても大切にする。
外国人が、正しく丁寧にペルシャ語の文字を書いてくれると、
とても嬉しいのです。”
そのとき、
先生の研究室にたくさんかけてあった
ペルシャ書道が頭に浮かんだ。
微妙なバランス。
デザイン。
ペルシャの書道はとても綺麗だ。
今後は、
略さず正しい文字をきちんと書こうと思った。
自分たちの言葉の文字を、
外国人が大切に丁寧に扱ってくれる。
これはとても嬉しいことだと思う。
そしてまた、
私達が他の国の言葉の文字を
きれいに丁寧に書く。
それは
その言葉、またその言葉を使う人々に対する敬意
でもあるのではないか、と
ふと思った。