『イランの口承文芸―現地調査と研究―』 竹原新先生
大学のときの私の先生が書かれた本。
今更ながら、読んでみた。
“書承文芸は時代の価値に応じた変化がないが、
口承文芸は時代の価値に応じて変化していく”
“だからこそ、ある文化を総体として捉えるには、
口承文芸を見る必要があり、
これらの2つに共通するものを捉えることで、
通時的な価値を抽出できる”
なるほどと思った。
“ある歴史上大きな事件の前後では、
その価値はどう変わったか”
イランでは、イラン革命やイラン=イラク戦争があった。
それを知る世代と知らない世代では、
大きく違うはずだととらえ、今を探る。
そこで私が思うのはやはり、カンボジア。
もし、カンボジアで同じ調査をしたら、
どうだろうか。
1970年~90年代の混乱の中で、
何が残り、何が変わったのだろう。
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研究のテーマはさておき、
その手法、ロジックがとてもきれいだと思った。
先生の研究に向かっていえる立場ではないが、
読んでいてそう感じた。
去年、卒論に取り組んで以来、
全く内容の分からない分野でも、
その論文の良し悪しは何となく分かるようになった気がする。
骨格を追って文章を読むようになった。
そして内容は違えど、
あることの伝承を探った私の去年の研究は、
先生の研究と手法としては近い。
というか、このような調査の段取りと、
分析の視点、まとめ方をすればよかったのかと、
気づいた。
ちょっとまた、研究をしてみたいかもしれない・・・
そんなふうに思った。