『メコン・黄金水道をゆく』 椎名誠
ある日の昼休み、コーヒーを買いに商店街へ出たのだが、
コーヒー屋の前の本屋にふらりと入り、
平積みになっていた新刊を衝動買い。
ラオス・カンボジア・ベトナムを
メコン河に沿って、
1か月半かけて旅した、その記録。
2003年ということは、
ちょうど私が初めてカンボジア、ベトナムに行ったときの
各国の様子ということだ。
ほんとうにここ数年大きく変わった国だから、
いつの写真なのかが気になる。
筆者はラオスについて多くを書いている。
ベトナムではある漁、養殖について書いている。
けれど、カンボジアについは、あまり多くない。
トンレサップ湖には触れているが、
そこで水上生活をする人々は実はベトナム人が多い。
それは、かつてのベトナム戦争の影響なのだそうだ。
と感じるのも、私がカンボジアのことを、
他の国よりも多く知っているからかもしれないが。
“源流からみると長大な距離だが、
多くの予想もつかないいろんなドラマを派生させながら
かなり速い時間でこの河口までやってきている気がした”
“メコン河が世界という環を体現しているように、
人間の一生もまた大きな流れの中にある。
…自分の中にあったそれまでの世界を入れ替えるのだ”
作者と解説者のこれらの言葉に、
妙に納得した。